輪るピングドラム 感想

第一話の面白さが群を抜いていたと思う。一話の混沌とした、メジャーとマイナー、陰と陽の共存=『雰囲気』が最後まで保たれていればなぁ、というのが率直な感想。
後半は陽の要素をペンギンの小芝居が一手に引き受けていたので、話の重さのほうが勝ってしまっていたと思う。重いテーマと向き合いつつも「生存戦略!」と狂ったバンクが毎回炸裂し続けていれば嬉しかった。


ピングドラムの設定などの類は、具体的に迫っても混乱してしまうものだと思う。ただお話の展開が、情報を徐々に公開していくタイプのサスペンスドラマ的なものだったので、そこで躓いてしまう人が多かったのではなかろうか。僕自身も話を追うだけになってしまって、面白いとは思いつつも、正直乗り切れなかった。
他の深夜アニメを平行して観まくっていたのも拙かったかも苦笑。。ピンドラに絞っていれば、もっと詳細に深く楽しめた気がする。集中して全話見返したら、かなり印象が変わるかもしれない。


また、同じ幾原監督作の「ウテナ」や押井作品の「イノセンス」ように、ムーディーであれば、展開が同じでも印象はだいぶ違っていたかもとも思う。作品を通して、一貫した『雰囲気』を僕は見つけることが出来なかった。
『雰囲気もの』という言葉を、作品の一要素としてしか扱わない&受け取れない人が多いとよく感じるが、僕は雰囲気こそ、作品の根だと思っている。それはゲームでも同じ。言うなれば【血】である。


不満はあるが、なによりも重要なのは視聴者・現実に還元されるものが多分に含まれた作品だった、という点だ。自分を生かす起爆剤のような作品だったと、僕は受け止めた。そんなTVアニメに出会えた事、それだけでうれしい。


あと、あまり関係ないが、一期?のエンディング、Dead Future は名曲だと思う。